情報システム開発の世界では、情報システムの開発を請け負う企業をSI(とかSIer)と言い、それを使う企業をユーザー企業と言います。
通常、両者は協力してシステムの構築に当たるのですが、お互いの領域の線引きをどこにするかというのが非常に難しかったりします。


ユーザーはITプロフェッショナルであるべきか

ユーザー企業ができる限り,自分で取り組むことである。情報システム開発を例にとれば,要件定義,設計,プログラム開発,テスト,機種選定,システム環境の整備,データ移行,システム運用・保守,利用者教育まで,すべて自分で責任を持って実施する。ビジネスに合致した情報システムを開発し,動かしていくには,自分でやるのが一番早く,柔軟な対応が可能で,しかも安上がりなはずだ。

すべてユーザー企業側がやったほうが望ましいという意見もある一方で、ITの部分はすべてSIerが責任を負うべきとの意見もあります。

経営者がITを理解できない本当の理由
我々ユーザー企業は、ビジネスにおけるIT投資の費用対効果を考え、どんなビジネスをして、ITをどう使ったらいいかを考え抜く。できあがったシステムを使いこなしてビジネスを遂行し、所定の効果を出すところに力を注ぐ。
 一方、ITや情報システムの開発については、ITベンダーに責任をもって担当していただく。

結局のところ、企業が行うビジネスと情報システム(IT)がどの程度密接なのかで決まってきます。
すべての経営行為はシステム開発そのものだという意見さえもあります。

「IT投資」という考え方そのものが間違っている
ソフトウェアシステムの開発とは、経営行為そのものそのものであり、逆に言えば、江戸時代どころか、ローマの時代から、経営行為とは、ソフトウェアシステムの開発以外のなにものでもありませんでした。
どのようなソフトウェア機能なら、システム的ボトルネックが生じずに、かつ、ソフトウェアシステムの保守性が悪くならずに開発可能かどうかの検討がつかない経営者では、ろくな事業企画ができるわけがないのです。
なぜなら、それは、自社の経営行為そのものであり、それを外注にやってもらうのは、経営行為そのものを外注にやってもらうというような、意味不明の行為だからです。

上の記事の通り、自社のビジネスとITが密接な企業ほど、社内の人員でシステムを構築すべきです。
いわゆるIT企業はたいていそうしていると思います。はてなやライブドアなどは、ほとんどのシステムを社内で構築しているようですし、Googleにいたっては、ハードの設計まで自前でやっていると言われています。
それでは、SIerはどうすれば良いのか?その答えが、アジャイル開発だったりするのかと思っています。

アジャイルアライアンス
要件の変更は例え開発の後期であっても受け入れます。
アジャイル・プロセスは変化を味方につけることによって
お客様の競争力を引き上げます。
ビジネスをする人と開発者はプロジェクトを通して
日々一緒に働かなければなりません。
意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。
ですから彼らが必要とする環境と支援を与え
仕事が無事終わるまで彼らを信頼してください。

この問題はSIerが受け取る報酬も関係してきます。
単に技術者の頭数が欲しいだけならば人月見積もりでもいいのでしょうが、
ビジネス自体を一緒に作ろうとしているパートナーに対して、
人月見積もりしてたら駄目でしょう。

人月見積もりでは生産性は上がらない、IPAが警告
「ソフトウェアのアウトプットを計るのは難しく、現状多いのはコスト積み上げ型の何人日という形での見積もり。ソフトウェア工学は進歩しているが、生産性を上げても金額が低くなってしまう。このジレンマが生産性の上がらない要因。それがまさしく浮き彫りになった調査」

よいSEにはよい報酬を,
“人月いくら”はもうやめよう

システムの価格を“原価”によって決めるのではなく,そのシステムがユーザーにもたらす“価値”によって決めよう,という機運が高まってきたことだ。